ARTIST

RUSH BALL 2010

RUSH BALL ☆R


S.R.S
爽やかな風が吹き、過ごしやすい気候の中、今年も大阪城音楽堂にて『RUSH BALL☆R』が開幕の鐘を告げる!そのトップバッターを務めるのは、まだ若干20歳の4人組、S.R.Sだ。

本日の野音は、例年のギラギラした日差しというよりは、雲間から差し込む柔らかな陽光で包まれている。その穏やかな空気感は、あたかも彼らのためといった風で、1曲目『ジョーイ』から、豊潤な音色で満たされた会場はゆったり横揺れに、かみしめるように音楽を楽しんでいるのが実に印象的だ。彼らが奏でる牧歌的で王道をいくポップ・サウンドは、熱量の高いバンドが多く出演する『RUSH BALL☆R』ではいい意味でかなりの異色。さらには、その優等生めいた雰囲気ながら堂々と、軽やかにステージを自分たちのものにしていく姿には、20歳のニューカマーらしからぬ頼もしさも感じられるのだ。

『みなさん、音楽漬けの1日を楽しんでいきましょう』と、さらりと語る山口(vo&g)は、前述の頼もしさと共に、とことんこのステージを楽しもうという気持ちでいっぱいの、あたかもいたずらっ子の様な表情をたたえている。きっとこの瞬間を誰よりも楽しんでいるのは、彼らそのものといえるような、実にいい表情! どこか郷愁を呼び起こさせる『sometimes』『風向き』と続き、柔らかでピースなムードに会場は自然と拍手が沸き起こっていく。

そんなドラマチックなひとときは、濃密だっただけにあっと言う間にラストへ。アップテンポで爽快なナンバー『ワンダーソング』で、一気に会場の心をさらっていった。老若男女・オールマイティに対応する器用さを備えたサウンドメイクに、大舞台への気負いがまったく感じられない堂々としたパフォーマンスは大器の予感大!

そんな、どこまでも爽やかに駆け抜けたS.R.Sのステージで、『RUSH BALL☆R』スタートです!
- Set List -
M1.ジョーイ
M2.She is coming home
M3.Sometimes
M4.風向き
M5.ワンダーソング

S.R.S

S.R.S

S.R.S

S.R.S

S.R.S

[Champagne]
爽やかにS.R.Sがスタートをきった『RUSHBALL☆R』。続いての登場はライブハウスシーンを中心に注目を集めている[Champagne]。海外での生活経験というグローバルなバックグラウンドを持つボーカルの川上は大阪城野外音楽堂という大舞台にも物怖じせず、リハーサルから「大阪~!」と盛り上げる。リハーサルにも関わらず観客は、思わず座席から立ち上がり体を揺らし始める。それだけで、今から熱いライブが始まる事が確信できる。

改めてSEと共にメンバーが登場、川上の「ハロー大阪!」というひとことに観客は盛り上がる。1曲目「For Freedom」からドラムは畳み掛けるように響き、川上の甲高い声が大空に溶けてゆく。UKロックやパンク、オルタナティヴなど洋楽をルーツに感じさせる、その音楽性は音楽好きの大人をも納得させて躍らせてしまう説得力がある。

かっこいいギターリフが印象的な「Yeah Yeah Yeah」では、その名の通り「Yeah Yeah Yeah」とまるで機関銃のように発射される川上のシャウトで、観客は立て揺れして拳を振りかざす。早くも場内が一体となった感じがする。

「今日はお値段以上です!」と『RUSH BALL 2010』開催日8月29日にちなんで付けられた『RUSHBALL☆R』の価格829円をお茶目にアピールする川上。そして、披露されたのは7月7日発売となるニューシングル「City」。英語詞が主に感じる彼らのナンバーの中でも日本語詞が際立つ。自然に川上の言葉が心の中に入ってきて、より掴まれる。

ラストは一転してスローバラード「UNTITLED」。川上の訴えかける声、楽器のアンサンブルが客席後方までしっかり届いている事がわかる。最後はしゃがみこみ、ドラムをじっと見つめる川上。その残響は彼らがステージを去った後も、気持ちよく鳴り響いた。
- Set List -
M1.For Freedom
M2.Yeah Yeah Yeah
M3.City
M4.Don't Fuck With Yohei Kawakami
M5.UNTITLED

[Champagne]

[Champagne]

[Champagne]

[Champagne]

[Champagne]

黒猫チェルシー
ハンドクラップも入り混じったSEが流れる中、続きましての登場は渡辺大知(vo)率いる黒猫チェルシー!!

一気に昭和の時代へとタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気と衣装をまとい登場。ゆる~い雰囲気を味わったのもつかの間、1曲目の『ユメミルクソブクロ』からすでにボーカル・渡辺のテンションはMAX状態だ!!

本能に、そしてただ自らが放つ音に忠実に身をゆだね、時に雄たけびを上げるボーカル。ノイジーな澤のギターとグルーヴの利いたベースを淡々と弾く宮田、そして跳ねながらパワフルにドラミングする岡本・・・。バラバラのように見えて実はグッと凝縮されたグルーヴ、骨太なロックンロールサウンドが、一見不似合いかと思うほど(笑)爽やかな野音の会場にうずまきながら轟くたび、不思議とオーディエンスの目を耳を奪っていく。

その証拠に、のっけからのあまりのインパクトに呆気にとられていた(笑)オーディエンスも『ノーニューヨーカー』『ショートパンツ』と楽曲が進むにつれ、自然と身体が動き出す。そして次々と拳を上へ───!!

途中、ギターの機材トラブルも発生したがなんのその。 「おかげで歌が目立ったよ。ここから、ここから~!」と渡辺の気合一発。ラストに披露した『嫌んなった』まで、その言葉にうそ偽りのない渾身のステージを披露し、終わればオーディエンスも大拍手。

インパクトだけでない確かな実力と今後の可能性を垣間見せてくれた黒猫チェルシー。 その全身全霊のパフォーマンスがオーディエンスの、いや会場の熱を上昇させたのは言うまでもない。
- Set List -
M1.ユメミルクソブクロ
M2.ノーニューヨーカー
M3.ショートパンツ
M4.ベリーゲリーギャング
M5.Eの流星
M6.嘘とドイツ兵
M7.嫌んなった(憂歌団カバー)

黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

[Champagne]
晴天に恵まれ、熱いロックバトルが繰り広げられてきた『RUSH BALL☆R』も折り返し地点。その分岐点的役割を果たしてくれるのは、リハの段階からその澄んだ歌声で野音に爽やかな風を運んでくれたニューカマー、Galileo Galileiだ。

’10年代を牽引するであろうティーンエイジの代弁者は、憂いを含んだメロディをフレッシュな演奏でコーティング。『ハローグッバイ』『ロックスター』と立て続けに飛ばした後は、新曲『夏空』を披露。このアナウンスには会場から歓声も沸き上がる。

10代特有の生き急ぐかのようなパフォーマンスも、初々しくも誠実さが伝わるMCも、早くもシーンのメインストリームに飛び込んだ彼らにしかない武器だ。続いてはLISMOのCM曲として大量オンエアされた代表曲『ハマナスの花』。切なさ成分を多分に含んだド真ん中のポップソングが、野音の空に響き渡っていく。

そしてラストに披露されたのは、一転、彼らのディープな一面を垣間見せるどっしりとしたミドルチューン『SIREN』。バンドとしての変化の軌道とポテンシャルを提示したこの新曲を最後に、野音のステージを後にした彼ら。満員の会場を前に堂々と対峙したこの澄んだ歌声が、今後どこまで広がっていくのか!? その可能性の破片を見せたステージだった。
- Set List -
M1.ハローグッバイ
M2.ロックスター
M3.夏空
M4.ハマナスの花
M5.SAIREN

Galileo Galilei

Galileo Galilei

Galileo Galilei

Galileo Galilei

Galileo Galilei

[Champagne]
寡黙に入念なリハが続けられる中、入り口横のグッズ売り場にはThe Mirrazのグッズを求める長蛇の列が。彼らへの期待の高さが、それだけで窺える。親交のあるthe telephonesの曲がSEでかかると、観客は一気に手拍子の嵐で盛り上がる。「WE ARE the telephones!」とボーカルの畠山がお茶目なMCを決めると場内は凄い歓声が起きるが、照れ屋の畠山はその歓声を消すかのように「うるさい!」と嬉しそうに笑う。

「どうもthe telephonesです、今日はThe Mirrazのカバーをしようと思っています。畠山は俺より2個上だけどバカだよ!」と引き続きtelephonesのモノマネをしながらも、性急感溢れる演奏で、一瞬で空気を掴む。2曲目「check it out!check it out!check it out!check it out!」のリズミカルなビートで、客席後方では踊り狂うスペースが生まれる。続く3曲目「CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい」でも、その流れは引き継がれ、畠山の言葉とバンドが刻むビートでダンサンブルな状態に、より客席はなっていく。早くも沸点…、客席のあちこちから「暑い!」という声が上がる。

新曲「ハイウェイ☆スター(仮)」が披露されるが、すっかり雰囲気を作り上げている為、観客は何の躊躇もなく踊りだす。若手でありながら、余裕を感じさせるステージング。完全に熱狂の渦に巻き込まれた観客たち、一部の観客は興奮のあまり前へ押し寄せ、楽しそうに幸せそうに手を高く上げ踊っている。

駆け抜けていく感じで気がつくとラスト曲「僕はスーパーマン」。ステージ上のメンバーも気持ちが良いのか軽快なステップを見せたり、ジャンプしている。それに煽られるかのように客席も最後のヒートアップ。ドラムスティックが投げられ、畠山はビールを呑みながらクールに「ありがとう」とひとこと残す。割れんばかりの歓声をあげる客席に、最初と同様、畠山は「うるさい!」と照れくさそうに笑いながら舞台袖へと去っていった。
- Set List -
M1.ゾンゾンゾンビーズ
M2.check it out!check it out!check it out!check it out!
M3.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
M4.シスター
M5.ハイウェイ☆スター(仮)
M6.イフタム!ヤー!シムシム!
M7.僕はスーパーマン

The Mirraz

The Mirraz

The Mirraz

The Mirraz

The Mirraz

[Champagne]
徐々にクライマックスも近づき、どこか暗雲たちこめる大阪城音楽堂。サウンドチェックを行う様子を会場がじっと見つめる中、突然「本読んでいるの? 参考書? がんばってね」とやさしく話しかける姿にスタート前から盛り上がるという、ほのぼのするハプニングを経て、1曲目『Misstopia』からTHE NOVEMBERSのステージが始まる。

美しく紡がれていくメロディに、澄んだハイトーンボイスが合わさり、夢心地のオーディエンス。どこか厳かな雰囲気も持ち合わせ、徐々に彼らの世界へ誘われていくように、心地よいトリップ感が会場を包んでいく。ゆっくりと柔らかいムードにくるまれていく心地よさ、それとは相反するじわじわ侵食されていく恐怖感が同時にやってくる不思議さが、彼らのパフォーマンスにはある。空を切るような鋭いギターの音色が、隠した狂気を感じさせる『pilica』、エモーショナルで疾走感に満ちた『she lab luck』、そしてねじれ具合がどこかポップネスな『dysphoria』と、多彩なサウンドで一気に畳み掛け、そのクールな風貌とはうってかわった熱情溢れるパフォーマンスに会場の興奮度は一気にピークへ!

何度も転げる程の、限界などとうに考えてもいないような彼らのステージングは、まるで自らの生命を削っているかのように、儚く、そして強い。何より、見ほれているなんて状況を通り越して、惑わされているかのようにステージ1点を見つめるオーディエンスの表情が、THE NOVEMBERSのステージの凄みを物語っているといえるだろう。

ラスト、ドラムセットに突っ込まんばかりに弾き暴れ、シャウトし、拳をつきあげた彼ら。センセーショナルなステージを観客へ鮮烈に刻みつけ、いよいよ『RUSH BALL☆R』ラストのsleepy.abへ!
- Set List -
M1.Misstopia
M2.pilica
M3.she lab luck
M4.dysphoria
M5.こわれる
M6.白痴

THE NOVEMBERS

THE NOVEMBERS

THE NOVEMBERS

THE NOVEMBERS

THE NOVEMBERS

[Champagne]
快晴のもと行われてきた『RUSH BALL☆R』もいよいよ大詰め。心地よい風が吹き、ほのかに日が暮れてきた大阪城音楽堂に登場は、北の大地・札幌出身の4ピースロックバンド、sleepy.ab(スリーピー)。

火照った身体の余分な熱をスーッと吸収し、かわりに芯からジンワリ高揚感を与えてくれる柔らかなサウンドと、どこまでも伸びていくような成山の耳なじみの良い歌声が身体の中を通り抜けていく。なんと気持ちがいいのだ。

「朝から聴けるスリーピーってキャッチフレーズがついてるんです(笑)」と放たれた新曲『君と背景』をふくむ彼らの楽曲は、穏やかな日常の情景を心の中に描かせながら、"普遍的なものの美しさ“をまざまざと実感させてくれるよう。心にそっと寄り添うような優しいボーカルに、そして浮遊感漂う繊細かつ丁寧なメロディに自然と耳を奪われ、じっと聴き入るオーディエンスからは、どこからともなく感嘆の溜息すらも・・・。

一転、ライブの後半に披露されたダンサブルなロックナンバー『flee』では、この時間帯ならではの照明効果も相まって非現実的な世界へとトリップさせてくれるなど、改めて彼らのふり幅の広さには驚かされる一面も。

「しっとり終わりたいと思います」そう語りラストに披露された『ねむろ』が、この日の幸福感と熱気に包まれ、ほどよく疲れた身体をも癒してくれるほど感動的かつ壮大なサウンドスケープを描き───。

sleepy.abに贈られた惜しみない拍手に、“あ~、こんな終わり方も素晴らしい”と心の底から思えたほどドラマティックなエンディングで幕を閉じた、今年の『RUSH BALL☆R』だった。
- Set List -
M1.メロディ
M2.なんとなく
M3.君と背景
M4.flee
M5.ねむろ

sleepy.ab

sleepy.ab

sleepy.ab

sleepy.ab

sleepy.ab